1984年ロス五輪男子マラソン金メダリスト、カルロス・ロペスからの贈り物

1984年ロス五輪男子マラソン金メダリスト、カルロス・ロペスからの贈り物 リーダーの言葉の力

 

2020年東京オリンピックの開催が決定しました。

現役の選手たち、過去のヒーローたち、
更には各スポーツ団体や政界、財界がひとつになって勝ち取ったチャンスです。

 

それは、国民が感動をシェアするチャンスです。

 

確かにオリンピックの誘致に対するアゲンストもありました。
復興支援を優先すべきではと言う意見です。

 

でも、開催が決定した今は、この世界最大規模のスポーツイベントであるオリンピックを、
復興支援のために盛り上げるしかありませんね。

筆者の身内も福島に住んでいます。

 

さて、前置きが長くなりましたが、
みなさんはオリンピックを実際にご覧になったことはありますか?

私は1984年のロサンゼルス、1992年のバルセロナ、そして1996年のアトランタに
それぞれ違った立場で参加させて頂きました。

 

実際、現地で観戦することは大変です。

 

セキュリティーは厳しいし、行列は長いし、
入場するだけでもとても時間が掛かってしまいます。

しかし、そこにはそんな思いをしてまで世界中から集まって来る人々がいます。
きっとそこには、それだけの価値があるからなのでしょう。

 

私は1984年ロス五輪では留学中だったこともあり、
大学時代の先輩が務めておられたナイキジャパンのアルバイトで現地入りしました。

開幕前から早朝から深夜まで、
陸上競技を中心とした選手のケアのお手伝いをさせて頂いておりました。

 

オリンピックも終盤を向かえたある日、
何度かコンディショニングをさせて頂いていた選手が通訳を連れてきました。

それまでは、身振り手振りでの対応でしたが、
その日、足に水泡ができてしまい、その処置を求められたのです。

 

丁寧に処置して絆創膏を貼り、テーピングでカバーした後、
原因を調べたらマラソンの本番用に使い始めた新しいシューズが微妙に当たっていたのです。

 

すぐにスタッフに連絡。

 

丁度いいサイズのシューズをお願いしたのですが、
なんとそれがナイキジャパンのオリジナル商品だったのです。

もちろん現地アメリカのサービスステーションにはそのシューズはありません。

 

「何とかなりませんか?」
「間に合う訳ないだろ!明後日レースなんだぞ!」

 

そんな大変な状態になってしまいました。

 

そこから、たくさんの方々が動きました。

現地スタッフだけではありません。

 

東京に残っておられた副社長、
ある航空会社の関係者など多くの方々のご尽力のおかげで

なんと翌日には、ポルトガル代表カルロス・ロペス選手
気にいって頂いていたナイキジャパンのオリジナル商品
『マラソンレーサー・ゴールドメダリスト』が届いたのです。

29歳の時出場した1976年モントリオールオリンピックでは10,000mで銀メダルを獲得した。

その後、マラソン競技に転向し、1984年ロサンゼルスオリンピックにおける下馬評では前年の世界選手権優勝者ロバート・ド・キャステラや瀬古利彦などの評価が高く、彼自身の評価はそれほど高くなかったが37歳での出場にも係わらず2時間9分21秒の五輪新記録で見事金メダルを獲得した。

この記録は、2008年北京オリンピックでサムエル・ワンジルによって破られるまで、24年もの間オリンピック男子マラソンの最高記録だった(ワンジルの記録は2時間6分32秒)。また、オリンピックの男子マラソンの歴代金メダリストでは現在も最高齢記録である。

1984年ロス五輪男子マラソン金メダリスト、カルロス・ロペスからの贈り物

出典:ウィキペディア『カルロス・ロペス

 

言葉は通じなかったけど、彼の気持ちはその表情から伝わってきました。

 

彼は、「この件に関わった全ての人に心から感謝の気持ちを込めて
このシューズを履いて走ります。」と言って下さいました。

 

その日までずっとサービスステーションの中でお仕事をしていた先輩と自分に
「彼の応援に行ってあげなさい!」
と部長さんが男子マラソンのチケットを下さいました。

これは、ロス五輪の閉会式のチケットでもあります。

 

10万人の収容力があるロサンゼルス・メモリアルスタジアムに、
優勝候補だった瀬古利彦選手や世界記録保持者のサラザール選手ではなく、
ロペス選手が1番で入って来た時には感激のあまり絶句しました。

 

微力ながらケアさせて頂いていた選手が、
金メダルに向けて確実に歩を進めています。

 

大観衆はスタンディング・オベーションで彼を迎え、
それは自然発生的な巨大ウエーブとなって回ってきましたが、
自分はあまりの感動で立てませんでした。

 

オリンピック新記録での金メダルを獲ったロペス選手に
少しでも関わらせて頂いたことに感謝の涙が溢れて止まりません。

 

しかし、次の瞬間、信じられない光景を目にしました。

 

そのロペス選手が、履いていたシューズを脱いで手にもって
ウイニングランを始めたのです。

 

この件に関わった全ての人に、
時空を超えて感謝の気持ちを伝えるために…。

 

思いがけない彼の行動に、私は声を上げて泣いてしまいました。

 

彼は最初からそうするつもりだったそうです。
スポーツの感動は、メダルの色や記録だけではありません。

 

そこで繰り広げられる超人的な技や想像を超えるドラマ、
その裏側にあるたくさんのエピソード。

 

臨場感は、その場に行かないと感じられません。

 

そして、スポーツに30年以上関わった今も思います。
いつも一番「感動」させられるのは「人」であると。

 

さあ、2020年は東京でオリンピックです。

どんなドラマが我々を感動させてくれるのでしょう。

 

今からワクワクが止まりません。

 

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