メディアに報道されなかった車いすマラソン土田和歌子選手の感動劇

メディアに報道されなかった車いすマラソン土田和歌子選手の感動劇 リーダーの言葉の力

 

2012年夏、ロンドンオリンピック・ロンドンパラリンピックが開催されました。

回を重ねるごとに成長をし続ける五輪は、
今回もたくさんの感動やドラマを生み出しました。

日本選手団も史上最大数のメダルを獲得し、歴史に残る大会になりました。

選手たちの活躍は、毎日のように報道され、
その中で日本人選手たちの活躍が伝えられましたが、少し残念なことがありました。

 

実は、伝えられたのは最初から期待されていた種目や、
人気のある選手ばかりだったからです。

 

マイナーな種目は、メダルを獲得して初めて報道され、
そうでもなければテロップが一行出れば良い方でした。

オリンピック終了後、8月29日からパラリンピックが始まりました。

その頃には、報道の回数も量も極端に減っていました。

 

チームのキャプテンを務めた車いすマラソンの土田和歌子選手は、
5回の出場経験があり、

これまでにいくつものメダルを獲得している選手だったので
ドキュメンタリーや、ニュース番組には何度も取り上げられましたが…。

 

しかし9月9日、日本時間の夕方の7時30分にスタートした彼女のレースは、
ゴールデンタイムだったせいか中継は入りませんでした。

 

全国のペップトーク講演会で、
土田さんのお話をして、「応援して下さいね~!」って呼びかけていたので、

その時間が来たらどこかで中継していないか、
一所懸命チャンネルを回し続けました。

 

その結果は、残念なものでした。

どれだけ探しても中継はされていませんでした。

 

金メダルの期待がかかっていたのに…。

ネットでも情報が入らず、どうなったのかな~って心配していたら、

帯同されていた夫の高橋慶樹さんから電話が入りました。

 

「残念ながら5位でした。ご期待に応えられずすみませんでした!」

私は即座にこうお答えしました。

「わざわざロンドンからご連絡ありがとうございます。

きっと大変なレースだったのでしょう!くれぐれも宜しくお伝え下さいね。」

 

優勝候補の筆頭にあげられ、世界記録を持つ選手が、
「5位だった」と言うことは、きっと何かがあったに違いない。。。

それ以上に、今はとても「辛い」思いをされているに違いないと
勝手に思い込んでしまいました。

 

しばらくして続報が入って来ました。

 

実は、土田和歌子選手、21キロの地点で転倒をしたのだと言うのです。

 

前回の北京オリンピックでは、5000mのレース中に転倒、
後続の選手に激突され脊椎損傷で続行不可能となり、

担架に乗せられて退場、帰国後も入院、手術と競技生命が脅かされるような出来事がありました。

 

しかし、持ち前の明るさとプラス思考で、
この苦境も乗り越え金メダルを目指してロンドンに出場していたのです。

 

ロンドンまで応援に行かれていたスポンサーの方からも連絡が入りました。

 

「彼女は、激しく転倒しましたが、自ら這い上がりレースを続け、

そこから前を行く選手を2名抜いて5位になったのです。

 

感動しました!あきらめない姿、見せてもらいました!」

 

ここに『メディアに報道されないけど伝えるべき何か』があるような気がしてなりません。

 

転倒した土田和歌子選手にレーススタッフが駆け寄って来ました。

 

「続けますか?」

この質問は、「助けますか?」と言う意味なのです。

 

選手はレース中に誰かにアシストされた瞬間に失格となります。

高速走行中に転倒した彼女は、
遠くまで投げ出され肩を強打して倒れていたのです。

 

「続けます!」

 

練習中にも本番中にも何度も転倒している彼女は、
この状況下でも自分は行けるととっさに判断。

 

自分でレーサー(競技用の車いす)を起こし、自らの力で這い上がったそうです。

 

その時、奇跡が起きました。

 

彼女の様子を固唾を呑んで見守っていた沿道の人達が、歓声を上げたのです!

彼女が「続ける」と分かった時、ロンドンっこ達が感動しました。

 

その場の空気が大きく揺れたのを感じた時、
土田選手はその大きな「声援」に感動しました。

 

身が震えるほどの感動は、人に力と勇気を与えてくれます。

彼女は、そこから肩の痛みを忘れ、最後まで全力を出し切りました。

 

これまでに何度も世界記録を樹立し、
冬季、夏季の両方の金メダルを獲得している

唯一の日本人である土田和歌子選手が、おっしゃいました。

 

「ここだけの話ですが、あの瞬間、トップでゴールした時より感動したかも知れません。」

 

そうだと思います。

 

人は、メダルの色よりも記録よりも、
「人」に感動するのですから。

 

国を越え人種を越えて。

 

 

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