リーダーの言葉の力は、相手のことを信じる力

リーダーの言葉の力

 

こんにちは、岩崎です。

 

最近、テレビのワイドショーなどで、スポーツやビジネスの世界の指導者たちが、言葉が持つ力を自覚せずに部下やチームメンバーと接したことで起きた嫌がらせやハラスメントといった悲しい出来事をとても多く見かけます。

通常の会話が成立する成人同士のコミュニケーションであれば、それぞれの立場の違い、年齢、あらゆる状況によって言葉本来が持つ力にさらにバイアスがかかり、その力は増大します。

 

しかし、会話が成立しない子供に対して、言葉本来がもつ力は有効に作用するのでしょうか?

言葉を理解することができず、コミュニケーションをとることができない子供に言葉の力は伝わるのでしょうか?

 

もし、正しく言葉の力が伝わるのだとするならば、私たちはこれまで以上に襟もとをただして、一語一語を大切に選んで相手に届けなくてはいけません。

今日のお話は、そんな気持ちになるお話です。

 

言葉の力は実在するのか?

 

先生、言葉には絶対に力がありますよね!

 

2012年3月のある講演会が、終了した後、Yさんという若い男性に声をかけられました。

 

その日の講演で、『イメージが現実化する』と言うお話をさせて頂いていました。

「言葉(言語習慣)を変えると、考え方(思考習慣)や行動(習慣)にも影響を与え、状況や結果にも変化をもたらす事ができる」と、たくさんの事例をご紹介しながら熱く語った後の事です。

 

Yさん
僕は、言葉の力を信じます。実は、信じて実践しています。と言うか、信じ続けたいのです。

と。

あまりに真剣な眼差しに「何かあったのですか?」と尋ねました。

 

実は、6年ばかり前に突然、奥様から会社に連絡があり、仕事を抜け出して病院に駆け付けたそうです。

そこには既に泣き崩れ、事情も説明できない状態の奥さんの姿があり、ドクターにどういう事なのか説明を求めました。

 

医師の話では、「1歳になったばかりの息子さんが、少し具合が悪くて病院に来たら、世界にも例の少ない難病に罹っていることが判明しました。適切な処置を行わなければ余命3日間です!」ということでした。

 

『伝わる』より『伝える』気持ちの大切さ

「今朝まで普通に遊んでいたのに何故?」

「適切な処置とは何?」

「家内にはいったいどんな説明をして、こんな状態になったのか?」

「泣いている我が子に、たくさんの管は何のためにつけられているのか?」

 

様々な疑問が沸いてきて、ドクターに詳しい説明を求めたのですが、要領を得ず何を言っているのか、何をしようとしているのか全く理解できなかったそうです。

 

「すべて外して下さい!子供はこんなに嫌がっているじゃないですか?治療法が分からないのに何を注射しているんですか?」

「あなた方が、3日の命って言うから家内も子供も泣いてるんじゃないんですか!」

 

男性はそう言って、ドクターと看護師に懇願し、子供を外に連れ出したそうです。

外に出ると1歳の我が子は、笑顔を取り戻したそうです。

 

冷静さを取り戻し病室に戻ってから、治療法のないわが子に声を掛け始めたそうです。

 

Yさん

お前は大丈夫!
お前は元気!
お父さんがついているからな。明日も一緒に遊ぼうな。

寝付くまでずっと傍で「大丈夫だ」と囁き続けたそうです。

なぜ、『伝え続ける』ことができるのか?

そして、3日目の朝を迎えた時に、医師にこう言いました。

Yさん

先生は3日の命だとおっしゃいましたが、3日経ってもこうして生きています。
連れて帰ります。
この子は自分が守ります!

帰宅してからも、いつ不測の事態が起きのるか誰にも分かりません。
だから、父は子供に声を掛け続けたそうです。

 

Yさん
お前は大丈夫、お前は元気だ、明日もお父さんと一緒に遊ぼうな!必ず明日は来るからな!
と。

 

岩崎
それで、今はどうなったんですか?

聞き難い質問でしたが勇気をもって尋ねたら、

 

Yさん
7歳になりました。小学校にも通っています。

笑顔で答えて下さいました。

 

今も毎晩、どんなに遅く帰宅しても、息子と娘の部屋に行き、頭を撫ぜながら声を掛けているそうです。

お前は大丈夫だ、お前は、元気だ、と…。

 

『伝え続ける言葉の力』は信じ続ける力

そのお子さんは、今でも病院で検査を受けると白血球などの数値に異常が見られるそうですが、お父さんは、こうおっしゃいました。

Yさん

先生、自分は信じたいんです。
言葉の力を。
だから俺が生きている限り、子供達の事は俺が護ります。言葉の力で!
病院では、色々と検査をしてたくさんのデータを元に「現在の状態」を把握することができます。
同時に「症状の未来予測」をすることもできます。

そこで社会的にも信用されている医師が、最悪の事態を想定し、それを言葉にしてそのまま伝えたらどうなるでしょう?

多くの人が信じ込み、本当にそうなるのではないでしょうか?

 

Yさん
息子が、後3日で死ぬって言われた時、本当はショックでした。
もちろん怖かったんです!
でも、男親が今、泣いたら全てが終わる。
だから、息子との大事な残りの3日間を前向きに楽しく過ごそうと思ったんです。

 

お会いしたその夜も、言葉の力を信じて声をかけるとおっしゃっていました。

 

「お前は大丈夫。お前は元気だ!明日も一緒に遊ぼうな!」

そう自分自身にも言い聞かせながら…。

 

あなたは部下やチームを信じていますか?

正直、このお子さんがよくなった理由がYさんの言葉によるものかどうかを検証することは不可能です。

 

しかし、理由はどうあれ、Yさんがお子さんのことを心の底から信じているからこそ『お前は大丈夫!』という言葉を伝え続けています。

 

言葉に力があるかどうかなんて誰にもわかりません。

しかし、それでもYさんは『言葉には力がある!』と心の底から信じています。

 

なぜなら、どんなものにすがってでも『とにかく子供に生きていてほしい』という親としての当然の願い、希望があるからです。

 

『生きてほしい』という希望がある。

お前は大丈夫。

そう信じる。

 

信じているからこそ、彼の言葉には力が宿っているのかもしれません。

 

私たち経営者、リーダーたちも、今一度、部下やチームを心の底から信じ、期待し、応援することではじめて、自分の言葉に力が宿るのではないでしょうか。

 

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